幼児教育は早ければ早いほうが効果的

最新の脳科学の研究成果によれば、「3歳以下で一定の期間眼帯をしていると弱視になる」など、人間能力の発達には敏感期が存在していることが示されています。

ちなみに3、4歳を対象とした就学前教育であったPerry School / High Scope は、子どもたちのIQを高める効果は小さかったのに対して、生後4か月から幼児教育を行った実験グループでは、子どもたちのIQが高まったという結果が示されています。

このような脳科学の知見も用いてDr. James Heckmanは、3、4歳の時期に適切な教育を受けずに敏感期を過ぎてしまった子どもは、教育投資の効果が小さくなり、学習意欲を高めることは難しく、効果は限定的なものになると考えています。

Reference:

保育所が子供をダメにする

イギリスの文部科学省に当たる機関Ofstedはイギリスに多くの保育所の子供は小学への進学に必要な基礎能力が低いということを指摘した。文部大臣であるSir Michael Wilshawは保育所のあり方を変えようとしている。子供を預ける施設ではなく、教育主導の施設に変更しなければ、子供は学校での生活に付いていけなくなる。

当然多くの保育所を運用している方々から反論をしている。子供の学力より人間性を育つべきだと。子供に教育を押しつけることは子供の精神健康を害する恐れがあると、様々な反論が展開している。

しかし、Oxford Universityが2013年発表した調査では、子供が保育所に過ごす時間が多いほど、情緒的と行動的な問題が起こりやすいという。この調査は991世帯を対象に行ってお家で過ごす子供と、保育所で過ごす子供を比較して、保育所にいる時間が長い子供は活発性過度症になる可能性が大きいという。

ただ、見落としては行けないのは『貧困層家庭の子供』がそうなる傾向が強いということ。そして、Ofstedの指摘も実は『貧困層家庭の子供』が焦点であることを強調した。

数字が読めない、言葉ができない、ペンも握れない

Sir Michael Wilshaw(Ofsted)三分の二貧しい家庭の子供は数字や言葉が認識できない、そしてペンを握れない、トイレに行く事すらできないと危機感を表した。彼らは小学の時、読み書きができていないとすれば、小学校の生活についていけない。このような子供は将来中学校に進学できるはずがないと。

「我々は社会階級の移動(低所得から中所得へ)を考えている時は、どんな学校で卒業したのを焦点に当てるのではなく、我々は実際に子供の人生の開始時点に何が起こっているかを心配する必要がある。」つまり、子供が幼少期能力開発は将来の学力より大事だということ。

50%の子供が小学への準備できていない

2014年University College London’s Institute of Health Equity の調査によると、イギリスの子供の半数以上が小学への準備されていない。西欧諸国に比べて識字、数字と身体的な能力などは基準より大幅に遅れている。

これについて、親の責任が大きいと指摘した。特に幼少期に親は子供と一緒にいる時間、読み聞かせしてくたり、話し掛けたり、抱っこしてくれる時間が不十分だという。

研究リーダーのProfessor Sir Michael Marmotは子供の健全なる成長は親や保育に関わる人に大きく左右される。子供に話し掛けたり、読み聞かせしたり、遊んだり、歌ったり、そして抱っこしてあげることは子供への成長に最も大きく貢献する。このような残念な結果は親の関わり合いと保育サービスの品質も密接に関与しているという。

Reference:

  • http://www.bbc.com/news/education-26853447
  • http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/11113837/Half-of-children-are-not-ready-to-start-school.html
  • http://www.parenta.com/2013/10/18/children-spend-time-nurseries-more-develop-behavioural-problems-2/
  • http://www.telegraph.co.uk/education/educationnews/10740021/Ofsted-chief-send-children-to-school-from-the-age-of-two.html

子育て方程式

ノーベル経済学賞受賞者James Heckmanは0〜5歳幼児教育への投資は最大の利益をもらたし、利益率は株式より高いと言っている。

彼の方程式は、

幼児教育への投資+能力伸ばす+持続効果=人的資本増加

幼児教育への投資は教育と開発資源を恵まれない家庭に等しく提供することで初期の人間能力開発が成功しやすい。

能力の伸ばすは子供の認知能力と社会的スキルの育成が誕生から5歳まで最も重要な時期。

持続効果は幼児教育は成人になってもその効果が続く。

人的資本増加は能力の高い、生産性の高い、そして優秀な市民が次世代のために配当金を支払う。

幼児教育は本当に有効な手段か?

Dr. James Heckmanは計量分析を用いて、Perry School / High Scope、The Carolina Abecedarian Preschool programなどの経年調査のデータを分析してこの結論を出した。
勿論反対派は存在する。彼はこう出張している:Perry School のプログラムは年間19,000ドルがかかる一方、Childcare Center(公営保育所)などは年間3,800ドル。オバマ政権がこのほど幼児教育へ72億ドルの投入はすべて税金(たばこ税上げ)に賄っている。そして、Perry School のプログラムはChildren at Riskの家庭が対象であることから、一般な子供までその効果が波及するかどうかは定かではない。ただ、これらの指摘は個人的な考えが多い。

Perry School のプログラムは既に50年の歴史を持っている。そして50年目の調査は着々と準備が進んでいる。かつでない規模の幼児教育の経年調査は果たしてあったのか?おそらくない。そしてDr. James Heckmanは検証しないでデータを安易に取り上げることは考えにくい。そのため、アメリカ政府のみならず、国際機関であるOECDも幼児教育を推奨している。

Reference:

  • http://www.smartbeginnings.org/Portals/5/PDFs/Research/HeckmanEquation.pdf
  • http://www.childcarewestchester.org/pdf_employers/The_Heckman_Equation_brochure.pdf

子ども社会に広がる学力格差への対策

2009年文部科学省が発表した調査では中卒と大卒の生涯賃金は8,000万円とのこと。これ数値はさらに拡大するばかりである。経済格差は先進国においてかなり深刻な問題で、社会的コスト、つまり医療、特別教育施設、犯罪率、生活保護などを増加する原因にもなる。アメリカのオバマ政権は格差を是正するために、10年に75億ドルを高品質の幼児教育に投資すると2013年教科書に発表し、先月実行した。

アメリカは決して幼児教育が先進的な国ではない。むしろOECDの加盟国中で下位である。

オバマの決断

オバマ政権が幼児教育への投資決断となる根拠は一つはPerry School / High Scopeの経年調査である。60年代からのプロジェクトで、高品質の幼児教育とそうではない施設の子供の一生を追う調査である。

以前の記事にも取り上げた。主に

  1. 中退率が低い
  2. 進学率が高い
  3. 犯罪率が低い
  4. 安定的な収入
  5. IQ及び学力が高い

という結果が認められた。そして、最大の利益は1ドルの投資に対して将来7ドルのリターンが得られるということ。この試算はノーベル経済賞学者James Heckman(シカゴ大学)も認めて、そして彼も高品質の幼児教育を推奨する一人でもある。(OECDも高品質の幼児教育を推奨している。)

*Perry School / High Scope以外に、The Chicago Child-Parent Centers Program、The Carolina Abecedarian Preschool programも同様な結果が得られた。

子供が9ヶ月の時既に格差が存在している

子ども社会に広がる学力格差

図1.収入による子供の学力格差

Dr. James Heckmanの研究による学力格差(Achievement Gap、和訳:学力差)は既に子供が9ヶ月の時既に存在しているという。この格差が解消しない限り、子供の将来も低所得者になる可能性が大きい。そして学校中退、犯罪などが起きる可能性があると示唆している。

なぜ9ヶ月で学力格差を生ずるだろう。ここでいう格差は子供の認知能力、社会性=学校への準備度合いということ。

子ども社会に広がる社会性格差

図2.収入による子供の社会性格差

大きな要因として、母親と父親の学歴、移民者かどうか(お家で英語を使っていない)、また貧困により充分な医療を受けられないことがあげられる。Children at Risk = 取り巻く環境が育児に良くない、はオバマ政権だけではなく、イギリスをはじめとする先進国はこれを解消しようとして、様々な財政的な支援を乗り出している。

中間所得層は最も学力格差が解消できる

NIEER(国立幼児教育政策研究所)の研究によると、低所得層と高所得層の学力差が拡大するばかりだが、中間所得層と高所得層との学力差は存在しているものの、広げることなく停滞している。

中間所得層の子供は収入制限によって格安の教育サービスを受けられない一方、料金の高いインターナショナルスクールのような学校にも受けにくい。受けられる一般的な教育サービスは大勢の子供が一緒に勉強しているので、先生が一人一人子供への対応が出来ないという点。

NIEERがまとめた報告では、中間所得層の子供が高品質の幼児教育を受けることで、子供の学校への準備度合い、言葉数、認知力、社会的な行動/スキルなどが高くなったという。そして、高所得層の子供との学力差が縮まったという結果がわかった。

高品質の幼児教育の持続力

W. Steven Barnett, director of NIEERが123本の論文をまとめたところで、高品質の幼児教育は小学だけではなく、高校になってもその効果が発揮続けるという。

Dr. James Heckman(シカゴ大学)はこれについて幼少期において感情的なスキルと社会的なスキルが開発された結果といい。Dr. James Heckmanは人間のハード(学術力)ではなく、ソフト(社会性、コミュニケーション力)などを重視すべきと説いている。

高品質の幼児教育とは?

主に3つの点から評価されている。

  1. 少人数(生徒対先生)
  2. 先生の質
  3. 環境面

先日ある幼児教育の方とお会いして、日本において昔は一時的に幼児教育が流行っていたが、今は学力を延ばすというよりか「有名」学校に入るために勉強させている保護者が多い。学力も中身も付いてこれなくなる子供ばかりという。

Reference:

  • http://www.americanprogress.org/issues/education/report/2013/06/25/67886/the-top-10-myths-about-preschool/
  • http://nieer.org/resources/policyreports/report3.pdf
  • http://www.childtrends.org/wp-content/uploads/2013/05/2009-52DisparitiesELExecSumm.pdf
  • http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab200901/detail/1296547.htm
  • http://heckmanequation.org/

子供の大学学費を払ってはいけない

子供の大学学費により多くのお金を払う親は、子供の成績が悪くなる傾向だという。

研究の結果は今までの考え方を覆したもので、それはほとんどの親はより多くのお金を子供の教育に費やすことで、自分の子供がより良い成績を修められると考えてきたからだ。子供が学費を支払うためにアルバイトしたり、ローンを組んだりして、学業に集中できないと思っている親は少なくないはずだ。

しかし、それはまったく違う結果となり、両親にその学費の全て負担し支払われている学生は、より多くのレジャー活動に従事することが判明した。言い換えれば、彼らは勉強するために学校に行くのではなく、遊ぶために学校に行くようなものだ。

親の金銭的なサポートが高いほど子供の成績が最も悪い。それは、私立、県外の大学そして、最も学費の高い大学でもいえる。ただし、私立大学と比べてエリートの大学はこのような現象が少ないとこの調査でわかった。

「親からお金をもらって大学を通う学生は、授業に真剣に取り込もうとしない」とDr. Laura Hamiltonが言う。彼らは学校を中退することなく、おそらく卒業できるだろう。しかし、成績は決して良い方ではない、せいぜい平凡な単位を取っている。」

Dr. Laura Hamiltonはデータの信憑性を確かめるために、さらに3つの連邦政府のデータを取り込み、定量分析を行った。そして、その結果は一致している。「親に学費を支払われていて成績が悪い学生で、その親がきちんと子供に対して自分の責任を議論されてこなかった」とDr. Laura Hamiltonが指摘した。親が自分の目標、成績、卒業時期など、子供に明確に話す、議論することで、マイナスの影響は最小限にもしくは排除することができるという。

「余裕のある家庭で子供を大学に通わせるのに親が金銭的な支援をやめてとは言っていない。最も大切なのは子供になぜ学校に行かせること、何を勉強して得ること、目標などを子供にきちんと議論することだ。」

アメリカの大学平均費用はUS$28,500、トップレベルの大学学費は教材など入れて年間US$57,125。平均年収のUS$40,000優に超える。ただ、トップレベルの大学、例えばハーバード大学の新卒だと平均年収$57,700であるため、学生ローンを組んで大学に行く人は少なくないという。

日本でも同じ現象があるのではないだろうか。

Reference:

  • http://asr.sagepub.com/content/early/2013/01/03/0003122412472680.abstract
  • http://www.forbes.com/sites/susanadams/2013/01/16/want-your-kids-to-succeed-dont-pay-for-their-education/
  • https://www.insidehighered.com/news/2013/01/14/study-finds-increased-parental-support-college-results-lower-grades
  • http://www.topuniversities.com/student-info/student-finance/how-much-does-it-cost-study-us
  • http://www.payscale.com/research/US/School=Harvard_University/Salary#by_Years_Experience

甘やかされて育った子供の特徴

① 高い期待を抱いている

甘やかされて育った子供は全てのものが周到用意されていると期待している。彼らは例えばそれが目に見えるアイテムであろうか、学校での成績やスポーツチームのポジションであろうか、手にするために頑張ろうとしない。このような勤労意欲の欠如は子供の行動に様々な影響をもたらす。甘やかされて育った子供は目標を設定し、それに向けて達成した時の達成感や報酬感覚を理解できない。彼らは望まなくとも用意されていることを期待して、そして多くの場合彼らは成果一つも達成することができない。

② 怒りっぽい(かんしゃく)

かんしゃくは幼児の成長において避けられない過程の一つ。特に2歳前後の幼児は時折かんしゃくすることがある。ただし、甘やかされて育った子供は2歳以降も続いている。もし子供が3歳以降もかんしゃくが続いていれば、それは典型的に甘やかされている子供の特徴。甘やかされて育った子供は簡単に挫折し、その高い期待と相まってかんしゃくに発展する。

③ ルール無視、他人軽視

甘やかされて育った子供は自分を中心に行動する。そのため、彼らはルールを軽視し、そして日常的にもルールを無視する。その結果、彼らは自分の兄弟や友人とも歩み寄ろうとしない。甘やかされて育った子供は彼らの望んだものが用意されると期待し、もしルールによってそれらを手に入れられないとわかった時にはイライラして怒る、そして妥協も拒否する。彼らはルールへの尊重を欠いていると同じように、彼らはまた他の人への敬意を欠いている。彼らは自分の失礼な挙動によって周りの人に迷惑をかけていることすら理解できない。

④ 不平不満

甘やかされて育った子供は満足することが難しい。彼らはルールへの尊重や節度のある行動ができない、その結果常に多く要求する。そして、甘やかされて育った子供は簡単に飽きる、それは彼らがしばしば自分が持っていないものにだけ焦点を当てるためからだ。

Reference:

  • http://www.pal.ua.edu/discipline/spoiled_child.php
  • http://www.aces.edu/pubs/docs/H/HE-0718/HE-0718.pdf
  • http://www.happiestbaby.com/10-ways-to-raise-a-spoiled-child/