子供いじめへの対策

70本の論文に20,000の子供のサンプルデータをまとめた報告書によると、過保護する親の子供はいじめの対象になりやすいことがわかった。研究に参加しているProf Dieter Wolke, University of Warwickがこう訴えかける、「親の過度の保護によって不快なことを経験してない子供はそれらに対する耐性が一層脆弱化される。」

「いじめの起因は学校だと思われるが、実は家庭内にある。ネガティブや過酷な親の子供は最もいじめに合う可能性が高いが、驚いた事に過保護の親の子供もいじめに合うリスクが高い。」

親の関与、支援、高度な監督を受ける子供はいじめに参加する可能性が減少されるが、過保護によっていじめられる可能性を増加する。

「子供は親からのサポートが必要だが、ただ多くの親は不愉快な経験までも子供にさせていない。これは子供に経験から学ぶ機会を奪い、そういう子供は最も脆弱的である。」

この報告書のいじめの定義は、6ヶ月の間にいじめの行為を継続的繰り返すことと定義し、一回のものではない。

「いじめっ子は最も脆弱的な子供をターケットとする、つまり泣きやすく、その場から逃げ出す子供が最もいじめに合いやすい、そして一旦その関係性が樹立されるとその子に対していじめを繰り返す。」

社会的な行動に明確なルールを持ち(躾をすること)、そして支援的、感情的に暖かい親は、子供が被害者になりにくい。

いじめは世界38カ国に32%子供がいじめを受けている。いじめを受ける人は、体の不調、精神的不安定、落ち込み、そして自殺傾向が高いという。

Reference:

  • http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0145213413000732
  • http://www.bbc.com/news/education-22294974

子供ストレス対処法

「人間にはストレスが不可欠である。これは人間にとって新たな知識を習得する、経験を獲得する、そして挑戦を乗り越えるのに必要な要素だ。子供達にストレスを体験させる必要がある。」

Psychologist Oddgeir Friborg, University of Tromsøは回復心理学の博士号を持っており、精神的の防御及び健康促進に関する要素に専門としている。現代社会において親は子供達に対して過保護気味だと指摘する。

「例えば子供が他の子供と遊ぶことを恥ずかしがったり、臆病だったりする際は、親は子供の背中を押してあげること、時には強く諭す事も必要だ。」

「親は子供の代わりにすべてしてあげることができない。子供達が早期に自分の臆病さ、内気を克服できれば、彼らは自信を持つことが可能で、そしてどんな困難な社会的な状況に置かれても、自ら解決できる。」

「親は子供同士のケンカをやめようとしている。子供の友達同士や兄弟同士のケンカは見守ってあげる。子供達はその争いを自ら解決できる。その過程を経験させてあげる。」

多くの方は子供がみんなの前に話すことを嫌がったら、やめてあげると考えているか?
「それを強く押すべきだ。子供はそれを対応する方法を習得できるのだ。乗り越えれば、対応方法が学べるから。それは将来彼らに待ち構える様々な困難な課題への準備ができたという意味だ。」

「子供達はストレスや困難への対応を習得できなければ、大人になったらストレス耐性や困難を乗り越える力があると思うか?」

「ただし、親達は子供の背中を押すのはいいが、限度があることを忘れないでほしい。子供のストレスへの耐性を強くすることであり、ストレス耐性を壊す事ではない。」

「ストレスへの対応できない子供は不健康な食事を取る傾向が多い。運動しないでアルコールに飲むことも多い。」

「ストレス耐性が強い人は、楽観的、そして学習意欲が増加し、痛みや悲しみを忘りやすく、楽しく人生を謳歌する。」

「ストレスの耐性がない人は学習障害、成長障害、免疫力の低下、そして病気からの回復も遅い。」

Reference:

  • http://sciencenordic.com/stress-good-children
  • http://developingchild.harvard.edu/key_concepts/toxic_stress_response/

保育所入園率はたった26%!

OECD Education at a Glance 2013によると

  1. 日本で3歳未満の子供の保育所等の入園率は25.9%、OECD平均は32.5%。
  2. 日本の幼児教育または保育施設に対しての投資はGDP比で0.22%で、その内約50%以上が私的支出で賄っている。OECD平均は0.55%、各国の中最下位の2番目。
  3. 15歳以下子供を持つ母親の就職率は52.5%、OECD平均は65.2%である。ただし、この数字は2005年のもので、最新の正式な数字がないが、内閣府が発表の第1子出産前後の女性の継続就業率は38%で、この数字が妥当かと思われる。というと2010年のリーマンショックによる経済ダメージはOECDの発表に反映されていない。

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さて、この数字で何にかわかるかな?
待機児童の問題、母親就職率は①と②と③関係性がある。入園率が上昇すれば、必然的に保育設備への投資が増加する。そして、母親の就職率も上がる。
憂慮すべきなのは、入園していない子供の数と財源の問題だ。
母親が働けば労働力になるし、経済が回る、財源を増やす➡保育所が増える、と単純に考えてしまう。それだけで解決できない、日本の男女の賃金の差が女性労働者を拒んでいる。

女性管理職を増やす前に、まず男女の賃金の差を是正すべきではないか。

ちなみに、2012年Goldman Sachsが作成したウーマノミクスに関連する資料に女性就職率と出産率は正の関係にあると。女性が働けば子供が増えるとね。

Reference:

  • http://www.oecd.org/edu/eag2013%20(eng)–FINAL%2020%20June%202013.pdf
  • http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_25/pdf/S3-1-2.pdf

知らないと損するかもしれない幼児教育

幼児の初期脳形成を理解することによって幼児教育は幼児への投資という考え方に変わる。

① 脳は妊娠中から成人になるまで時間をかけて構築されている。

初期経験は脳の形成に際してその品質に影響する。丈夫なもしくは脆弱な脳の基礎を構築することによって将来にわたって学習能力、健康、そして行動に関しても影響を与える。

② 遺伝子と経験の双方向的に働きかけることによって成長期において脳の形は作られる。

幼児と関わる家族、保育士、またはそのコミュニティの中メンバーとの双方向的なコミュニケーション、つまり表情、手振り、返答などは幼児の成長過程におけて不可欠な要素である。これを欠くことで、脳は期待通りの構造にならず、引いては学習と行動の特異性につながる可能性がある。

子供の脳の成長段階

 図1.子供の脳の成長段階

③ 歳とともに脳のキャパシティは低下していく。

環境と人との係わり合いを順応するために、脳は幼児期においては最も柔軟的、もしくは形成力がある。しかし、成熟する脳はより複雑な機能を処理するため、脳が特化されるようになるとともに、新しいまたは予期できない課題に適応する能力や再構成する能力が低い。

④ 認知力、情動、社会性などの能力は生涯にわたって密接に絡み合っている。

心理的および身体的な健全、社会的スキル並びに認知性言語学的能力は早い時期に出現させることにより、学校、地域社会、そして後の社会進出においても成功の鍵を握るすべての重要な前提条件である。

⑤ 不要なストレスは脳の構築に妨げるだけではなく、生涯にわたって学習、行動、物理的および精神的健全のすべてに障害を起こす。

ただし、正のストレス(中程度、短期的な生理的不愉快な経験)は健全な成長の中において重要かつ必要な側面がある。が、不要なストレスは強力的で、軽減出来ないもので、体のストレスマネジメントシステムを活性化してしまう。大人の支援保護を受けられない状況で、不要なストレスが成長期の脳の構造過程によって体に取り込んでしまう。

幼稚園では遅すぎる

ソニー幼児教育支援

故 井深先生(ソニー創立者)の著書「幼稚園では遅すぎる(1971)」より

「脳細胞の配線は母国語を覚える3歳までに決まる。」

「遺伝よりも教育環境が優先する。」

「どの子も育て方ひとつで立派に育つ。」

「興味の持ったものは何でも覚えるのが幼児である。」

「甘やかし過ぎより悪いのはほったらかす事である。」

「幼児には遊びと仕事(学習)の区別がない。」

「親を超える人間を育ててこそ、はじめて本当の教育といえる。」

人生は三歳までにつくられる!幼児教育効果

1から3歳の幼児教育

脳の成長は1から3歳の時期において最も活発的に行っています。この時期に教育を行うことによってどのような効果/影響があるのかについてThe HighScope Perry School Study age through 40の調査によって解明されました。この経年調査によると早期教育(1から3歳)がもたらす効果は大きく、かつ持続性のあるものがわかりました。

1歳から3歳まで幼児教育

図1.Pre-KはPre-Kindergarten(幼稚園以前の意)の略で、つまり3歳前の教育を指しています。
With Pre-Kは3歳前の教育を行った人、Without Pre-K は3歳前の教育を行っていない人を指します。

調査結果

  1. 5歳時点のIQが90以上
  2. 14歳時点の学力(基本もしくはそれ以上の成績)
  3. 高校卒業率が高い
  4. 27歳時点でお家を持つ(マンション購入、経済力)
  5. 40歳時点の収入が20K+(安定収入)

その他は例えば、大学進学率の向上、学校中退率の低下、犯罪率の低下などもあります。また、認知能力についても短期的及び長期的な効果が認められています。

調査にはhigh quality preschool / early childhood programsと前置きしてあります。それについての定義は様々でありますが、概ねに

    1. 先生の質
    2. 先生対児童の数
    3. 環境などがあります。

米国立小児保健発育研究所は1から3歳児について6名に1人の先生の割合を推奨しています。日本3歳児の場合は、認可保育園は20名に1人の先生、幼稚園は35名に1人の先生となっています。

オーチャードキンダーはhigh quality preschool / early childhood programsという定義を念頭において設立されたものです。