無駄な医療を無くすために
賢く選ぶ(Choosing Wisely) アメリカ小児科学会
「Choosing Wiselyは、アメリカ内科医学委員会が創設したABIM財団により2011年から展開された活動である。患者と医師に対して過剰医療についての情報を提供することで、医師と患者との関係を密にし、患者中心医療の推進を目的としている。」
① ウイルス性呼吸器疾患(副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎)は、抗生物質を投与すべきではない。
幼児への抗生物質の使用率は低下する傾向ではあるが、依然として高い水準である。ウイルス性呼吸器疾患に対して不必要な抗生物質の投薬は抗生物質耐性が生ずるとともに医療コストの増加及び薬物副作用をもたらす。
② 4歳以下の子供の呼吸器疾患に対し、風邪薬や鎮咳剤を投与したり推奨してはならない。
研究によるとこれらの薬品は子供に対してほんの少し効用しか与えられない、その一方、潜在的に深刻な副作用をもたらす。多くの子供向けの鎮咳剤と風邪薬は複数の成分を含まれているため、飲み合わせることによっては不慮の過剰摂取の可能性が高まる。
③ 頭部の軽い外傷に対し、CT撮影は不要である。
軽微な頭部外傷は小児および青年において一般的に発生するものである。病院の救急部門に診察を受ける子供の約50%は頭部外傷に不必要だと思われるCTスキャンを受けさせられている。子供の脳組織が電離放射線に敏感であるため、生涯のがんリスクを増加させるなどX線撮影は子供に相当な危険をもたらす。
④ 子供の単純な熱性けいれんに対し、CTやMRIなどの神経画像撮影は不要である。
CTスキャンは放射線に関連しているため将来のがんリスクを増加させる可能性がある。MRIは鎮静が必要なためリスクとコストを増加させる。
⑤ 日常的な腹痛の訴えに対し、CT撮影は不要である。
子供の繊細な臓器に過剰放射線被曝は生涯のがんリスクを増加させる可能性がある。また、不適切なCTの手順によって放射線の過剰摂取の可能性がある。