幼児の初期脳形成を理解することによって幼児教育は幼児への投資という考え方に変わる。
① 脳は妊娠中から成人になるまで時間をかけて構築されている。
初期経験は脳の形成に際してその品質に影響する。丈夫なもしくは脆弱な脳の基礎を構築することによって将来にわたって学習能力、健康、そして行動に関しても影響を与える。
② 遺伝子と経験の双方向的に働きかけることによって成長期において脳の形は作られる。
幼児と関わる家族、保育士、またはそのコミュニティの中メンバーとの双方向的なコミュニケーション、つまり表情、手振り、返答などは幼児の成長過程におけて不可欠な要素である。これを欠くことで、脳は期待通りの構造にならず、引いては学習と行動の特異性につながる可能性がある。
図1.子供の脳の成長段階
③ 歳とともに脳のキャパシティは低下していく。
環境と人との係わり合いを順応するために、脳は幼児期においては最も柔軟的、もしくは形成力がある。しかし、成熟する脳はより複雑な機能を処理するため、脳が特化されるようになるとともに、新しいまたは予期できない課題に適応する能力や再構成する能力が低い。
④ 認知力、情動、社会性などの能力は生涯にわたって密接に絡み合っている。
心理的および身体的な健全、社会的スキル並びに認知性言語学的能力は早い時期に出現させることにより、学校、地域社会、そして後の社会進出においても成功の鍵を握るすべての重要な前提条件である。
⑤ 不要なストレスは脳の構築に妨げるだけではなく、生涯にわたって学習、行動、物理的および精神的健全のすべてに障害を起こす。
ただし、正のストレス(中程度、短期的な生理的不愉快な経験)は健全な成長の中において重要かつ必要な側面がある。が、不要なストレスは強力的で、軽減出来ないもので、体のストレスマネジメントシステムを活性化してしまう。大人の支援保護を受けられない状況で、不要なストレスが成長期の脳の構造過程によって体に取り込んでしまう。